配電盤類に使用する銅ブスバーの許容電流計算

当記事は一般社団法人日本配電制御システム工業会による日本配電制御システム工業会技術資料を要約したものです。

1. 目的

配電盤類に使用される銅ブスバーは、 一般に JIS H 3140 「銅ブスバー」より選定されているが、種類が多く、その許容電流についても、JIS C 4620「キュービクル式高圧受電設備」の解説表 4 が規格類などに掲載されている唯一のものである。

本技術資料は、配電盤類に必要とされる JIS H 3140「銅ブスバー」を整理充足し、銅ブスバー選定にあたり、経済的かつ安全に、また、技術的に十分な能力と信頼性の高いシステム構築に寄与することを目的とした。

2. 許容電流計算

2.1 許容電流計算の考え方

導体のおもな機能は電流を流すことである。その通電容量は導体自身の発熱を一定値以下に抑えて流しうる値であるが、その規制値は導体の機械的特性を変化させない範囲、及び絶縁する材料の性能を劣化させない温度で決定される。

導体の許容電流値の算出は、実験に基づく計算式が各種使われているが、ここでは一般に用いられている導体の発熱量と対流、ふく射による放熱量が等しいという熱平衡式について述べる。

※ 注記 熱平衡式:ふく射による放散 Wrは、導体表面のふく射係数に比例する。(ステファンボルツマンの法則)

一方、対流による放散 Wc は、種々の実験式が提示されているが、複数の導体を使用する場合、必ずしも一致しないので実際の試験結果により補正する必要がある。

大きな設備においては、試験電源設備の都合によって定格電流を通電することが不可能な場合が考えられる。このような場合の温度上昇値の推定計算式【JEM1265:2006 低圧金属閉鎖 形スイッチギヤ及びコントロールギヤの解説 2.7.3.2 b) 温度上昇値の推定について】を参考として次に示す。

低圧閉鎖母線など定格電流の大きな装置において、試験電源設備の都合によって定格電流を通電するこ とが不可能な場合には、定格電流よりも小さな試験電流を通電して温度上昇値を測定し、 自然換気条件の 場合は、次の式によって定格電流に対する温度上昇値を求めてもよい。

交流の場合には、導体の周囲に起こる磁場の変化により電流が導体の表面へ集中する表皮効果や、導体相互が接近している場合は、導体の磁場の相互作用によって電流密度が偏ってくる近接効果などがある。この場合、算出値は導体の断面形状、寸法、配列などのほか周波数、抵抗などによっても変化し、ばらっきが大きくなる。本技術資料では、銅ブスバーを垂直配置とした場合の計算について述べる。

なお、銅ブスバー垂直配置(1枚)の銅ブスバー1 cm あたりの表面積は、図1の実線部に示される A面積となり、銅ブスバー垂直並列配置(2 枚)の銅ブスバー1 cm あたりの表面積は、図2に示される A、 B、 C 面積の実線部となる。また、銅ブスバー垂直並列配置 (3 枚)の銅ブスバー1 cm あたりの表面積は、図 3に示される A、B、C 面積の実線部となる。